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矯正で歯を抜く?抜かない?──抜歯矯正と非抜歯矯正の違いとは
矯正治療を考えたとき、よくある疑問のひとつが「歯を抜かないといけないの?」」というものです。できれば抜きたくないけど、必要なら仕方がない…そんな思いで悩まれている方も多いでしょう。
今回は、抜歯が必要な矯正と不要な矯正の違いについて、専門的な視点からわかりやすく解説します。
◆ そもそも、なぜ矯正で歯を抜くの?
歯並びが乱れている主な原因は、「あごの大きさに対して歯のサイズが大きすぎる」ということです。つまり、「歯の並ぶスペースが足りない」ために、ガタガタになってしまいます。
このスペース不足を解消する方法のひとつが抜歯です。抜歯によってできたスペースに、歯を整列させていくのが「抜歯矯正」です。
◆ 抜歯矯正が適しているケース
以下のような場合、抜歯が必要になることがあります:
前歯のデコボコが強い(叢生)
歯と歯が重なって生えている状態で、スペース確保が難しい場合。出っ歯や口元の突出(上顎前突・上下顎前突)
口元を引っ込めたいという希望がある場合、前歯を後ろに下げるためのスペースが必要になります。噛み合わせのバランスが悪い
上下の歯のサイズや位置関係に大きな差がある場合、抜歯で調整することがあります。あごの成長が完了している成人矯正
成長を利用できる小児矯正と違い、大人の場合はスペースの確保に限界があるため、抜歯の選択肢が出てきます。
◆ 非抜歯矯正が可能なケース
一方で、必ずしも矯正に抜歯が必要というわけではありません。以下のような場合は、非抜歯矯正で対応できる可能性があります:
軽度の歯並びの乱れ
すき間がやや不足している程度であれば、抜かずに調整可能です。子どもの矯正(成長期)
顎の成長を利用して拡大する「拡大床」や、あごの誘導治療でスペースを作る方法があります。奥歯の後方移動(遠心移動)が可能な症例
特殊な装置やインプラントアンカーを使って、奥歯を後ろに動かすことで前歯のスペースを確保します。口元のバランスをあまり変えたくない場合
顔貌を保ちつつ歯並びだけ整えたい方には、非抜歯の方が好まれることもあります。
◆ 抜歯の有無は「見た目」と「機能」のバランスで決まる
大切なのは、歯並びだけでなく「噛み合わせの機能」や「口元のバランス」も含めて、トータルで判断することです。
たとえば、無理に非抜歯で矯正を進めた結果…
歯が前に出すぎて口が閉じにくくなる
噛み合わせに無理が生じて顎関節に負担がかかる
…といった問題が起きることもあります。
そのため、「できれば抜かずに」と希望される場合でも、しっかりと診断した上で、最良の方針を選ぶことが重要です。
◆ まとめ:抜歯するかどうかはプロの診断がカギ
矯正治療において「抜歯=悪いこと」ではありません。見た目だけでなく、将来の歯の寿命や噛み合わせの安定性を重視した結果として抜歯が必要になることもあるのです。
逆に、適応を見極めれば、歯を抜かずに矯正を完了できるケースも少なくありません。
当院では、事前の精密検査とシミュレーションを通じて、抜歯の有無を含めた最適な治療プランをご提案しています。ご不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。