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噛み合わせのズレは“低位歯”が原因?──引っ張り上げる矯正「エクストリュージョン」とは

鏡を見たときに、「あれ、この歯だけ沈んで見えるな…」と感じたことはありませんか?噛み合わせの中で、他の歯よりも明らかに下がっている(低い位置にある)歯のことを「低位歯」といいます。こうした歯は見た目だけでなく、噛み合わせや全体の歯列バランスにも悪影響を及ぼすことがあります。

このような低位歯を改善するために行われるのが、「エクストリュージョン(挺出)」という矯正技術です。この記事では、エクストリュージョンを使って“沈んだ歯”を引っ張り上げる治療についてご紹介します。

なぜ歯が下がってしまうのか?

歯が他の歯よりも下がってしまう原因はいくつかあります:

  • 対合歯(かみ合う歯)の欠損により、咬合圧がかからない状態が続いた

  • 過去の外傷や虫歯で歯が正常に成長・萌出しなかった

  • 咬合のアンバランスにより、特定の歯に力がかかっていない

  • 以前の補綴処置(被せ物など)で高さ調整が不十分だった

低位のまま放置してしまうと、噛み合わせ全体の高さや位置関係に影響を及ぼし、頭痛や顎関節症、咀嚼機能の低下を引き起こすこともあります。

エクストリュージョンで「引き上げる」治療法

エクストリュージョンとは、矯正用の装置を用いて、歯をゆっくりと上方に牽引する技術です。弱い力を持続的にかけることで、歯根ごと歯を上に引き上げ、理想的な高さまで導きます。

主な方法:

  • 矯正用ブラケットとワイヤーを装着し、隣接歯との位置関係を利用して引き上げる

  • ミニスクリュー(小型インプラント)を固定源にして、ゴムやスプリングで引っ張る

  • 必要に応じて補助的なスプリントやマウスピースを併用することも

この治療により、歯だけでなく、周囲の歯槽骨や歯肉も一緒にゆっくりと上方に移動することが多く、歯周組織の健康を保ちながら位置調整ができます。

→のある部分の歯が両隣よりも少し低くなっているのが分かります。

実際に横から見た症例の写真です。

治療期間と注意点

エクストリュージョンにかかる期間は、歯の移動量にもよりますが、通常数週間〜3か月程度。ゆっくりとした移動が必要なため、自己判断で中断せず、計画的な通院と観察が重要です。

また、エクストリュージョン後は、その位置を安定させるために「保定処置」が必須です。これを怠ると、せっかく引き上げた歯が元の位置に戻ってしまうこともあります。

まとめ:歯は「引き上げる」ことができる

「歯が沈んでしまった」「高さが合っていない」と感じる方にとって、エクストリュージョンは非常に有効な治療法です。補綴やインプラントと組み合わせて行うことも多く、歯科医療の現場では“再生的な矯正手法”として活用されています。

違和感を感じたら、ぜひ一度、矯正歯科やかかりつけの歯科医に相談してみてください。ほんの数ミリの高さ調整が、噛み合わせと見た目のバランスを大きく改善することにつながります。

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