矯正治療が終わり、装置が外れた瞬間は多くの方が「やっと終わった！」とホッとされます。ですが、実はその後にとても大切な期間が始まります。それが「保定（ほてい）期間」です。この時期に使うのが 保定装置（リテーナー） です。
1. なぜ保定が必要なのか？
矯正治療で動かした歯は、周囲の骨や歯ぐきが新しい位置に安定するまでに時間がかかります。治療が終わってすぐの歯は、まだ“元の位置に戻ろうとする力”が強く働いているため、何も装置を付けずに放置すると 後戻り が起こります。
リテーナーは、その歯を正しい位置に保つための装置であり、矯正の仕上がりを長く維持するために欠かせません。
2. 保定装置の種類
保定装置にはいくつかのタイプがあります。
取り外し式（マウスピースタイプ・プレートタイプ）
食事や歯磨きのときに外せるため衛生的です。透明なタイプも多く、見た目も自然です。固定式（ワイヤータイプ）
前歯の裏側に細いワイヤーを貼りつけるタイプで、常に歯を固定しておけます。装着の手間がなく、後戻り防止効果が高いのが特徴です。
どちらのタイプを選ぶかは、歯並びや生活習慣によって異なります。
3. 保定期間の目安
一般的には 矯正治療と同じくらいの期間（1〜3年程度） が目安です。
最初の数か月は「一日中着用」が必要で、その後、安定してきたら「夜間のみ」に減らすこともできます。ただし、自己判断で装着をやめると、せっかく整った歯並びが戻ってしまうこともあります。
4. 保定中の注意点
リテーナーは清潔に保ち、毎日ブラシで洗浄
外した際は専用ケースで保管
違和感や破損を感じたらすぐに歯科医院へ
また、成長期の方はあごの発育や歯の生え替わりの影響もあるため、定期的なチェックが欠かせません。
まとめ
矯正治療の成功は「装置を外した時点」ではなく、「きれいな歯並びを保てていること」で初めて達成されます。保定装置を正しく使うことは、美しい笑顔を長く守るための最後のステップです。
少しの手間を惜しまず、しっかりと保定期間を過ごしましょう。